理事長だより

理事長だより

大阪緑涼高等学校2年生を対象に講演会が開催されました。

2020年11月25日

 11月12日、大阪緑涼高等学校の体育館において、「『世に役立つ人物』とはどんな人間か」と題して、谷岡一郎理事長・大阪商業大学学長が、2年生を対象に講演されました。

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 冒頭、自己紹介の中で趣味について「SF、ミステリー、歴史書に絵本、コミック…と、膨大な量の読書をすること。それと音楽、映画、ゲーム。そして文字を書くこと」と述べられたあと、建学の理念「世に役立つ人物の養成」を現代的に解釈した“4つの柱”をもとに「世に役立つ」について説明されました。
「まず『思いやりと礼節』について。例えば電車の中でお年寄りに席を譲ることができない人が、本を読んで知識をいっぱいにしても、あまり世の中の役に立ちません。世の中で大変重要な知識を学ぶ前に、人間として立派でなければ学ぶ価値はありません。
2つめは『基礎的実学』。教養とは、人生に役に立つ知識及びその使い方、そして立ち居振る舞いです。知識の量は重要ですが、コミュニケーション能力は、これから特に重要になります。
3つめは『柔軟な思考力』について。頭の中にたっぷり貯めた知識が実際の世界で使えなければ意味がありません。応用して使うことができる、頭を柔らかくする…常に考える癖をつけてください。また、相手の立場に立って考え、相手の考えを理解したうえで、私の立場であればこうだと主張してください。
最後は『楽しい生き方』です。人間というのは、「楽しい」ということをいろいろなレベルで考えます。まず安全が確保されたら“物質的満足”で楽しさを感じます。そして、家族や友人、職場の同僚など“人間関係”に楽しいという感覚があります。さらにその上に、“社会の高い評価”が楽しさの対象となります。しかし、実はその上にもう一つ、アメリカの心理学者・マズローがいっていますが、“自己実現”という楽しさがあります。これには自分の生き方がはっきりわかることが重要ですが、こういう楽しさを目指すことが、世の中の役に立つ基本にあると考えてください。人を幸せにするには、まず自分が幸せを求めるという姿勢でなければならない、ということです」
説明の途中、「柔軟な思考力」についてのお話の中でクイズを出題され、挙手した2名の生徒が回答、プレゼントを受けていました。

 「建学の理念」の説明に続いて、「Curiosity(知的好奇心)」について、阿刀田高さんの『私の履歴書』を引用し、「疑問に感じることがあれば、ノートにキーワードだけでもいいので書いてください。何にでも首を突っ込もうという好奇心を持ってください」と述べられ、続けて「失敗はチャレンジの証」であることを、元プロ野球選手・イチローさんの「やりたいなら挑戦すればいい」という言葉を用いてお話しになりました。さらに「高校は知識や応用力を身につけるところ。大学というのは実社会がどうあるかということを考えたうえで、その訓練をする場です」、「必要な人材とは、変化に対応ができ、自分で考えかつ決断する。失敗しても再チャレンジでき、ユーモアやウィットを使える人。そしてリーダーシップを発揮できる人」と述べられました。そして最後に「私の信念と好きな言葉」として、「人は幸せになるために生まれてきた。そのためにできることを今やろう」「やるかやらんか迷ったらやる」「最後に笑う者の勝ち」の3つを挙げて、講演を締め括られました。

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 その後、生徒代表による「みんな将来に向かって日々頑張っています。卒業した人は建学の理念に従って社会に貢献していくはずです。だから、見守ってください。みんなも日々精進していきます」とのお礼の言葉をもって、講演会は結びとなりました。