理事長だより

理事長だより

神戸芸術工科大学、大阪商業大学で卒業式が開催されました。

2024年3月26日

 3月20日(水・祝)に神戸芸術工科大学、同25日(月)に大阪商業大学の卒業式(学位記授与式)が執り行われました。谷岡理事長は、神戸芸術工科大学で祝辞を、そして大阪商業大学では学長として式辞を述べられました。

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■神戸芸術工科大学
 これからの世の中はDXだAIだ、と放っておいてもいろんなことをやってくれる世界になりつつあります。であるからこそ、これからの世の中に必要なのは皆さんの新たな感性であると考えています。この、機械には決して到達できない感性を発信していくことが、皆さんに課せられた役割の一つだと考えてください。
 これから日本という国もより多くのデザインが必要になります。これは専門的なデザインだけではなく、オフィスにおける働き方であるとか、また家庭における料理に至るまでいろいろな意味での新たな考え方、デザインです。経済学の世界では、この現象を「ファンエコノミー」と呼んでいます。新たなことを見る聞く楽しむ、そして経験する。これから有り余る時間、場合によってはエネルギー、お金・・・といったものを消費していく社会において、新たな「ファンエコノミー」の種がごろごろしています。でもそういったことに気が付くには、ずっと電車の中でスマホだけを見て、世の中を見ていないようでは私はだめだと考えています。ぜひお願いしたいことは、これから皆さんの身の回りの移り変わり、社会の移り変わり、季節の移り変わり、そして世の中全体の移り変わりに目を配っていただきたい。世の中を見渡し、そして自分で考える、そういった生活を習慣づけていただきたいと思います。


■大阪商業大学
 今から20年前に今の世の中がどうなっているかというのは、ある程度予測できました。でもこれから20年後どうなっているかというのは、かなり不透明な世界になりつつあります。今までの常識、過去の例が全然通用しない社会になりつつあるからです。特にロボット工学の発達、生成AIを含めたAIの発展、そして予期せぬ出来事。政治的にも経済的にも、また自然災害も含めて予期せぬことが多く発生する世の中になりつつあります。どんな世界になるのか、それは不明ですし、今ある職業の3分の1ぐらいはないかもしれません。でもそんな中で予期せぬことが起こった時、皆さんの出番だと考えてください。実社会へ出ますと、対面での人間関係が中心となります。ですからこれからはオンラインだけですべてのことが解決できるという世の中では決してありません。皆さんが予期せぬことに出会った時は、まず疑問を持つでしょう。その疑問を放っておいてはいけません。自分でいろいろなことを調べてみてください。しかし、デジタルだけに頼るというのには限度があります。デジタルの情報以外のプラスアルファを必ずレファレンスとして活用できる人間になっていただきたい。
 入学式の時以来「やるかやらんか迷ったらやる方をとりなさい」と、ずっと言い続けてきました。社会へ出てもそれは一緒です。健康で、そしてずっと多くの人に優しくできる人間として世の中へ出ていただきたいと思います。